【美術】「没後40年 幻の画家 不染鉄展 暮らしを愛し、世界(コスモス)を描いた。」

皆様、お今晩は。東京ステーションギャラリーにて8月27日迄開催中の「没後40年 幻の画家 不染鉄展 暮らしを愛し、世界(コスモス)を描いた。」に行って参りました。

不染鉄(本名哲治、のち哲爾。鐵二とも号する)は、稀有な経歴の日本画家です。日本画を学んでいたのが、写生旅行先の伊豆大島式根島で、なぜか漁師暮らしを始めたかと思うと、今度は京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)に入学。才能を高く評価されながら、戦後は画壇を離れ、晩年まで飄々と作画を続けました。これまで美術館で開かれた回顧展は、21年前の唯一回だけ。画業の多くは、謎に包まれてきました。

その作品も、一風変わっています。富士山や海といった日本画としては、ありふれた画題を描きながら、不染ならではの画力と何ものにもとらわれない精神によって表現された作品は、他のどの画家の絵とも異なり、鳥瞰図と細密画の要素をあわせ持った独創的な世界を作り上げています。不染は「芸術はすべて心である。芸術修行とは心をみがく事である」とし、潔白な心の持ち主にこそ、美しい絵が描けると信じて、ひたすら己の求める絵に向きあい続けました。

東京初公開となる本展では、代表作や新たに発見された作品を中心に、絵はがき、焼物など約120点を展示し、日本画家としての足跡を、改めて検証するとともに、知られざる不染鉄作品の魅力を探ります。

20年近く美術ファンを自任して参りましたが、この不染鉄さまの名前もしらず作品も今回初めて観たのですが、日本人離れした描き方をする人だなぁと思ったのでありました。予備知識無しで作品そのものを観たら「宋代の水墨画」と言われても不自然に感じられない程室町絵画風と申しましょうか?とても「没後40年」とは思えないのであります。今回没後60年で椿貞雄、没後50年で川端龍子、そして没後40年で不染鉄と並ぶのですが、この符合には出来過ぎだろうと思ってしまわざるを得ないものがあります。

会場が東京ステーションギャラリーなのですが、実はここで日本画を観るのは初めてでして今迄は油彩画の展覧会ばかり観てきたのですが、剥きだしの煉瓦の壁に日本画があると言うのも結構合うものでして、これは嬉しい誤算でした。

今回のメインビジュアルとも言うべき一枚『山海図絵(伊豆の追想)』も実に変わった絵でして富士山と陸地と漁港と海が描かれているのですが、漁をしている絵は数あれど海の中に居る魚をも描いていると言うのには驚かざるを得ませんでした。

幸いなことにこの展覧会から「年間パスポート」を購入したのであと何回かはこの展覧会に足を運ぶと思います。東京では初めての回顧展でしたが十分に堪能致しました。